フルマラソンを超える50km、100kmを、丸1日、あるいは数日間かけて走り抜けるウルトラマラソン。完走者には「ウルトラランナー」の称号が与えられる、ランナーの最終目標とも言えるレースです。

特に北海道サロマ湖ウルトラマラソンでは、完走できるかどうかには、気温が大きく影響するのです。6月といえど近年北海道の気温はかなり高めになっています。
気温が高くなってくる昼ごろに体力を失わず完走できる方法を見ていきましょう。
完走すればステータスになるウルトラマラソン
テレビのチャリティとしても毎年夏に開催されているウルトラマラソン、その知名度とあいまって、市民ランナーの中ではウルトラマラソンへの参加が人気になっています。

ランニングを始めると、当初はタイムばかり気にして走り勝ちですが、走力がつくに従って次の目標に「ロングレース」が上がってきます。
その過程でフルマラソンにチャレンジする方も多いですが、中には壮年以降にランニングを始めていきなり100kmマラソンにトライするケースもあります。
それだけ、100km完走というステイタスは魅力なのです。100kmを完走できるランナーになったということで大きな自信を得られうランナーも多いことでしょう。
サロマ湖ウルトラマラソンの完走率

サロマ湖周辺のコースはアップダウンも比較的少なく、走りやすい道のりであることから、ウルトラマラソン初参加のランナーでも完走の可能性は高いのです。
それでも完走するためには制限時間ぎりぎりでも13時間という長い時間がかかります。ほぼ1日をかけて走りぬくためには、事前の準備がかなり必要です。データの収集も欠かせません。
サロマ湖ウルトラマラソンの完走率は気温と関連する?
サロマ湖ウルトラマラソンの完走率は、最高で80%と過酷なレースにも関わらず高い水準を持っています。
その一方で、50%台、40%台に低迷している大会も過去にはありました。
その差は、気温にあります。80%のランナーが完走した大会での最高気温は13℃台。50%しか完走できなかった大会では28℃台と倍以上の気温差がありました。
これによると、サロマ湖ウルトラマラソンの環境では、気温が上がると体力を消耗する度合いが高くなり、完走へのハードルが高くなると考えられます。
ほかの開催年で比較しても、最高気温が10℃台だった年は70%の完走者を出し、20℃台に上がってくると60%まで低下しているのです。

1998年、1999年は、気温は高くなかったのに完走率が低いのは、雨が降り体温を奪われたことが原因のようです。
ベテランでも消耗する高温のハードル
実際28℃の環境で100kmを走るのは、想像に難くないハードなレースです。
同じ時期に開催される大会にも関わらず、ここまで気温に差があるのは、近年の気象の変化と湖岸という天候に左右されやすい地形が影響しているのでしょう。

正午過ぎには25℃を超え、水分補給をしたり、体に水をジャブジャブかけたりしましたが80㎞関門でアウトになりました。ベテランランナーのみなさんたちも、運悪く暑さに負けたとこぼしていました。
ただ6時間半程度でゴールしてしまうトップランナーは、最高気温の影響はほとんど受けてないようにも見受けられました。
彼らは11時半頃にはゴールしてしまい、一方、制限時間13時間ぎりぎりで走るランナーは、気温が上がって日差しが強くなる頃に80㎞あたりを走っており、大変厳しい状況ということになります。
28℃のレースとなると、体感温度はもっと高くなります。ここで水分補給や体温を下げることを怠ると、ベテランのランナーでもスタミナを消費します。
気温を制するものがウルトラマラソンを制するといっても過言ではないようです。
完走を目指すには時間帯に応じたペース配分を
サロマ湖ウルトラマラソンのスタートは朝の5時です。トップのランナーなら6時間で完走してしまいます。
5時にスタートして6時間後にゴールできるのなら、もっとも気温の高くなる正午を待たず最適な気温の元で走りぬくことができるでしょう。
しかし、制限時間である13時間を目安にペースを作っているランナーは、もっとも気温の高い時間帯に、体力的にも精神的にももっとも苦しい80km地点を走っているのです。
これではまず精神面からモチベーションを削られ、肉体的な疲労がそれに追い討ちをかけます。
この状態を潜り抜けるには、朝の涼しい時間帯のうちに少しでも距離を稼いでおくことが必要になります。
最適気温のうちにベストラップで走れるように
市民ランナーの大会では、トップスピードの80%程度のペースで息切れせずに走りきれる走力が求められます。

スタート時に気温が低い場合は比較的走りやすいですね。ここでトップスピードの90%の力が出せるように普段からトレーニングしておきましょう。
普段のラップタイムからペースアップして、もっと早いタイムで5kmや10kmを完走する練習をします。
すると、徐々にトップスピードが80%の力でも出せるようになります。持久走は走りこめばそれだけ結果のついてくる競技なので、そこは練習のしがいもあるというものです。
前半の50キロをハイペースで走ることができたら、後は後半に向かってスローダウンして気温上昇に対応しましょう。
雨が降って低温になっても苦しいレース
気温上昇も問題ですが、時には雨に打たれて体が冷え、体力を奪われたことから失速してしまったランナーも多い大会です。
湖岸は天気が変わりやすいので、直前まで気温や湿度、雲の位置などのデータをチェックして、どんな服装や装備で望むのかを組み立てます。
ランニングバックの仲にウインドブレーカーを準備しておいて、天候に合わせて着たり脱いだりするのも1つの方法ですね。
ランナーとしての成長が実感できる意義深いレース
100kmを完走するということは、ランナーとしてだけでなく人としてもその後の人生の大きなステイタスになる記録です。
就職活動中の方は自己PRの中に「ウルトラマラソン完走」と書くこともできるでしょう。
それだけでなく、10時間以上もかかる長いレースでは自分自身を見つめなおす大きな機会になります。
ただ走るだけなく、何のために自分は走り出したのか、それを実感しつつ記録にも挑戦できる意義深いレースです。