現在、全国各地で多くの市民マラソンが開催されており、年々、参加者は増えています。
多くのランナーの方が走る楽しさを実感していますし、走ることは自分との戦いであることも実感していることと思います。
自分に打ち勝ち、見事レースに完走した時は、普段味わえない大きな喜び感じることができます。
今回は、マラソン初心者の方がフルマラソンのレースに挑戦するための練習方法について説明します。
レース4ヶ月前 「走るための土台作り」
目標がマラソン完走でも、いきなり走り始めるのは危険です。
ストレッチやウォーキング等の下準備をしっかり行い、ランナーの体になるための練習から始めます。
1.まずは、ウォーキングからスタートします。軽い運動なので、体力的にも精神的にも負担が少なく、習慣になりやすいです。膝や足首などの痛めやすい部位周辺の筋肉を鍛えます。
2.ウォーキングのフォームは、体の中心(体幹)を意識し、腕の振り方とかかとからの着地を意識した正しいフォームで行います。30分のウォーキングから始め、2週間はウォーキングを行います。
3.故障を防ぐために、走る前のストレッチと走った後のストレッチを行います。太ももの裏側と内側、付け根、股関節、肩周辺、アキレス腱等の正しいストレッチングを覚えます。
4.走り出す前の準備として、特に重要なのはシューズ選びです。初心者の方は、まだランニングの衝撃をカバーできる筋肉が備わっていませんので、ソール(靴底)の厚い、クッション性のあるシューズを選びます。その他、快適なウェアーやキャップやサングラス等も準備していきます。
レース3ヶ月前 「ウォーキングからランニングへ」
歩くから走るにトレーニングが変化していきます。正しいランニングフォームを身につけ、徐々に走る時間と距離を伸ばしていきます。
1.トレーニングを始めて2週間ほど過ぎると、30分間のウォーキングに慣れてきます。ウォーキングの時間を減らし、ランニングの時間を増やし、2週間をめどに最終的に30分走れるようにします。走ることが苦痛にならないよう、気持ち良く走られる時間で毎日、走ります。
30分ウォーキング→20分ウォーキング・10分ランニング→15分ウォーキング・15分ランニング→5分ウォーキング・20分ランニング・5分ウォーキング→30分ランニング
2.30分ランニングができたら、次は60分ランニングに挑戦します。少しずつ距離を伸ばしていくことがポイントです。2週間で60分走れるようにします。
20分ウォーキング・40分ランニング→10分ウォーキング・50分ランニング→60分ランニング
3.10km走に挑戦します。60分間走り続けると約10kmの距離になります。10kmを完走できる能力は十分に付いています。距離感とレースの雰囲気に慣れるために、10kmのレースに出場するのもおすすめです。
レース2ヶ月前 「ハーフマラソンに挑戦しよう」
休養をとりながら、1日3~5km、1ヶ月に100km走ることを目標にして走り、週末にはロング走を取り入れていきます。
1.月曜日は休養→火曜日3kmランニング→水曜日2kmランニング→木曜日5kmランニング→金曜日2kmランニング→土曜日3kmランニング→日曜日10kmロング走かLSDトレーニング
2.長い距離、長い時間をゆっくり走るLSDトレーニングを行い、持久力と心肺機能をアップさせていきます。週1回程度、週末に90分を目標に走るようにします。
3.自分自身で体調を管理し、オーバートレーニングにならないようにします。また、足に合わないシューズや正しくないフォームは、故障の原因になりますので注意が必要です。週末のロング走の次の日は休養したり、仲間とゆっくり走ってリフレッシュしたりと、トレーニングに変化をつけながら、トレーニングが苦痛にならないようにします。
4.筋肉痛を感じたら無理をせずに休養することです。筋肉は、48~72時間で回復していきます。体調を管理することもトレーニングの一つになります。
5.3ヶ月の練習で少しずつステップアップしていきます。次は、ハーフマラソンに挑戦するのも良いと思います。21.0975kmは未知なる距離ですが、ゆっくりとしたペースでかまわないので、この距離を体感してみて下さい。会場やレースの雰囲気を体感することで、フルマラソンに生かすことができると思います。
レース1ヶ月前 「目指せ完走」
多くの市民ランナーの憧れであるのはマラソンの完走です。そのためには、長い距離の走りこみと、変化をつけたトレーニング+筋力トレーニングが必要です。
1.走行距離の目安は、1ヶ月で150km~200kmを目標に、毎日同じ距離を走るのではなく、変化をつけていきます。
月曜日は休養→火曜日1km6分30秒~7分のペースで7~8km→水曜日ゆっくりランニング5km→木曜日軽いランニングと100mダッシュ8~10本→金曜日ゆっくりランニング5km→土曜日10kmロング走→日曜日20km~30kmLSD
2.レースの2~3週間前に一度、30km走を経験することをおすすめします。ゆっくりペースで良いので体と心に30kmの距離と時間を感じさせておくことが重要になります。マラソンには30kmの壁というものがあります。その壁を乗り越えるには30km走を行い、身体と心に自信を持たせることがポイントになります。
3.腹筋、背筋、腕立て伏せ、スクワット等の筋力トレーニングを行い、安定したフォームで長い時間走り続けるために必要な筋肉をつけていきます。
4.ハードなトレーニングをしてきた体は、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなっています。うがいや手洗いで風邪を予防します。レース3日前からは軽いジョギング程度で調整をして、前日はまったく走らず休養してもレースに影響はありません。
栄養バランスのとれた食事を
より充実したトレーニングを行うためには、健康の源である食事が大切で、栄養バランスのとれた食事を心がけます。普通の食生活の中では、糖質や脂質は不足することがありませんが、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちになるので意識して摂取して下さい。
タンパク質(筋肉を作る)
卵、牛乳、チーズ、魚、肉、大豆製品など
ビタミン(血液循環の促進などからだの機能を働かせる)
緑黄色野菜、果物、レバー、うなぎ、牛乳など
ミネラル(体の組織を作り、体の潤滑油になる)
魚、牛乳、レバー、肉、ヨーグルト、ひじきなど
カーボローディングとウォーターローディングでパフォーマンス向上
カーボローディングは、レースの3日前から食事における炭水化物の占める割合を多くすることです。カーボローディングは通常よりグリコーゲンを多く保持するため、ランニングに必要なエネルギーの枯渇を起こしにくく、より長い時間ランニングを続けることができます。
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カーボローディングと同時に、ウォーターローディングで毎日1.5~2リットルの水をこまめに飲み、体内の細胞内に水分を蓄え、その状態を維持することでランニングのパフォーマンスを上げることができます。
徐々にマラソンのリズムに合わせていき、マラソン完走を目指しましょう!あなたの完走を応援しています!