テレビで放映されるマラソンレースを見ていると、ランナーにはそれぞれフォームのくせがあることに気づきます。
首が傾いていたり、腕を回すように振ったり、大股で走ったりランナーの個性が表れています。
しかし、一流ランナーは全て理に適った走り方をして、1分1秒のタイムを競っています。
一方、私たち市民ランナーもいろいろなフォームで走っていますが、ランニングフォームが崩れたまま走り続けて、ケガや故障をしてしまうことがあります。
フォームの崩れは早期発見・早期改善をすることで、楽しく楽にランニングを続けていくことができます。
今回は、崩れたフォームの中でもよく見られる「腰が落ちたフォーム」について説明します。
腰が落ちる原因は
腰が落ちた走り方といのは、腰が後傾している状態のことを言います。
良い姿勢のランニングフォームは、頭-胸-骨盤が一直線になり、足の裏の真ん中に重心が乗っています。
その姿勢になると、自然に前傾姿勢になります。
しかし、このラインが崩れると、重心がブレることにより腰が下がります。
なぜ、頭-胸-骨盤のラインが崩れるかというと、体幹を支える筋肉群が弱く、体幹を使った走り方ができないために腰が落ちてきます。
体幹を支える筋肉とは腹筋や背筋(体幹筋)のことを指します。
この筋肉群は体幹部をしっかり安定させることで、四肢の動きもスムーズになり、エネルギーの伝達も効果的に行うことができます。
腰が落ちるとどんな影響があるか
正しい姿勢で走ると、体がブレることなくスピードに乗っていきますが、逆に胸やお尻が出た姿勢で走ると、腰が下がり前へ進みにくくなります。
足が前に出にくくなると、腕の振りを強くして前を進もうとし、首や肩が硬直した力んだフォームになります。
力んだフォームでは呼吸もしづらく疲労回復が遅くなります。
また、腰が落ちた走りになると、着地にブレーキがかかり身体が上下に揺れてしまいます。
上下動の激しい動きは、スピードが出にくく疲れやすい走りになります。
さらに、腰が落ちた走りでは、着地時の強い衝撃か腰や膝に集中し、ランニングによる障害が起こり易くなります。
腰が落ちるのを改善するには
ランニングフォームの基礎になるのは、正しいウォーキングフォームです。
ウォーキングの際に意識するのは重心の位置です。
重心は、へその下にある丹田におくようにします。
丹田とはへその下5cmくらいのところを言います。
リラックスした状態で正しい姿勢(頭-胸-骨盤が一直線になる姿勢)をとりながら、丹田を意識して歩くと、体が前後左右にブレにくくなります。
そして、肩甲骨・骨盤・丹田の体幹を使い背筋を伸ばした姿勢で走るようにします。
背筋を伸ばすために両方の肩甲骨を引き寄せ、腹筋を使うよう意識して上半身を真っすぐに保ち身体がブレないようにします。
骨盤を中心に、胴体を左右に回旋するように走ると、腰が落ちることなく、きれいに楽に前へ前へと進んでいきます。
体幹を使い背筋を伸ばして姿勢を良くすることで、いわゆる腰高の姿勢で中心軸がブレず美しいランニングフォームになります。
腰高フォームを行うには、腹筋や背筋等の体幹筋を鍛えることが重要です。
腰高のフォームには、こんな良いことが
腰高は大きなフォームを作り出し、脚にも負担がかかりません。
体幹筋の強化により、フォームが安定して美しいフォームが出来上がると、走りも安定して無駄なく走れます。
その結果疲れにくくなり長く走ることができます。
また、体幹を使い骨盤をスムーズに回転させることで、股関節をしっかりと動かし、脚の付け根から振り出すように走ることができます。
そうすることによって楽にストライド(歩幅)が伸びてきます。
股関節をしっかり動かして走ることは、太ももの筋肉を使って走ることになります。
ランニングでは、大きな筋肉ほど疲れにくく長い時間動き続けることができます。
脚で大きな筋肉は太ももの筋肉です。楽に走るためには、太ももの筋肉を使って走る腰高のフォームが理想的な走り方になります。